放夢新聞 知って得する歯の話 第四回「予防プログラム」
[第976号 平成22年12月20日発行]
第三回の虫歯のプロセスの話しで『脱灰』と『再石灰化』という言葉が出ました。日常での脱灰よりも再石灰化の量が多ければ、虫歯にならないという簡単なことなのです。
また、これらは虫歯菌の量や唾液量、唾液の質など個人的な要素が大きく影響します。だからこそ、効果的な再石灰化を促進するために唾液検査を行い医学的データに基づいた予防プログラムを立て実践することが重要です。
ここで注意しなければならないことは、すでにご自分の歯も少なくなっているし、今さら遅いと思っている方、また、虫歯は一本もないから大丈夫と思っている方は意外と多いのではないでしょうか。しかし、それは誤解です。歯が少なくなっている方は、これ以上歯を失わないために、虫歯がない方は一生ご自分の健康な歯で楽しい食事をし、素敵な笑顔でいるために必要なことなのです。
さて、虫歯菌の多い人は、この菌を減らすプログラムを実践します。例えば、毎食後のブラッシング後と寝る前に『100%キシリトールガム』を15分間噛んでもらい、フッ化第一スズ配合のジェルを歯に塗布してもらいます。何も難しくはありません。
また、フッ化物が必要な人であれば、低濃度フッ化物配合の歯磨剤で2分間良く泡立ててお口の中全体をブラッシング、この時できるだけ唾は吐き出さず、最後に口をすすぐ時も10CC(少量の水)で1分間ブクブクうがいをし、その後追加のうがいと2時間飲食をしない。
そして、3ヶ月に一回医院で高濃度フッ化物を塗布するだけです。
ここにあげた項目はほんの一例に過ぎません。個人個人で予防プログラムは異なります。
「そんな事しなくても、虫歯になったら歯医者で削ってもらって、銀歯にすればいいじゃないか」
本当にそれでいいのでしょうか?
一度治療した歯は元の健康な歯に戻った訳ではありません。治療した歯は、どのような治療も平均十年とはもちません。再治療が必要になるのです。また、治療の度に削られる量は増えます。最初は小さな詰め物だったものが、次は歯を覆う被せ物になり、ついには神経を抜かれ、最後は歯が割れて抜歯。というプロセスが多いのも事実です。これは簡略化したプロセスなので、人それぞれの経緯や経過は異なります。
虫歯が進行してしまうと、再石灰化しても元の健康な歯には戻りませんし、削って詰める以外に治療方法は見当たらないのも事実です。
たとえ、このような場合でも虫歯治療で最初にやらなければならない治療、それは、その人が虫歯にならない、なりにくいお口の中の環境を作ることです。
虫歯治療を繰り返し、歯を失わないようにするためには、まず、このような内科的な考え方が必要になります。これが『予防歯科』なのです。
>> メディア掲載に戻る
>> メディア掲載に戻る