放夢新聞 知って得する歯の話 第九回「インプラント」
[第982号 平成23年2月7日発行]
さて、いよいよ治療の回は今回で終了になります。読者の皆さんの中には口の中が痛くなる話しもあったかもしれません。
今回は、義歯(入れ歯)とインプラントです。
まずは入れ歯についてお話しします。「部分義歯」や「総義歯」と段階的にはありますが、義歯にも色々な治療方法があります。ここで多々ある治療方法についてご説明するつもりはありません。お話ししたいのは、義歯は口の中の環境を良くすることはなかなか難しいということです。義歯は付けたり外したりして、そのうちに無くしたり、割れてしまったり、日々の噛み合わせの具合が悪かったり、義歯にしてから口臭がひどくなったなどの悩みが付きまといます。そういった悩みについて良く相談を受けます。決して義歯が悪いと言うつもりはありません。しかし、予防歯科をメインに診療する私たちにとっては、患者さんの口の中の環境を良くしようと思うと、義歯はなかなか手強い相手となります。
次はインプラントについて簡単に概略をお話しします。インプラント治療は失った歯の下の骨に直接チタン製の人工歯根を埋め込みます。そしてそのインプラントを土台にして被せモノの歯を装着します。治療期間は、個人差がありますが、3ヶ月〜6ヶ月かかります。費用は、一般的に1歯につき四〇万円前後です。時間も費用もかかりますね。ですから歯を失わないように定期管理をして欲しいというのが私の願いではあります。
では、私がインプラントをお勧めする訳をお話しします。
皆さん『8020(はちまるにーまる)運動』をご存知ですか?
「80歳まで自分の歯を20本残そう」という推進運動です。
(厚生労働省・日本歯科医師会が提唱)
どうしてこのような運動が必要なのでしょうか?
この推進運動をしている8020運動推進財団のホームページにその理由が書かれています。ズバリ!「あなたの健康を守る」のです。
噛み合わせがちゃんとしていると食べ物を噛み砕けます。そのことは身体に良い効果があります。 よく噛むことで唾液が出なす。また食事の満腹感も得やすくなります。これは肥満予防や解消に繋がります。食べ物を噛み砕くことは、胃袋や大腸などの内臓の負担が少なく消化しやすくなるということです。
また高齢者にとっては深刻な内容ですが、ある研究者によると、認知症との因果関係も報告されています。食べ物をしっかり噛むことで歯と歯槽骨(しそうこつ)の間にある歯根膜(しこんまく)という靱帯から脳に刺激が伝わります。この歯根膜は噛む感覚を認知していますが、これが脳細胞に刺激を与えるのです。
健康に良い食べ物をいくらとっても、その食事をちゃんと噛み砕いてあげないと効果は半減です。
自分の歯とほぼ同じように機能するインプラントがお勧めなのはこのような理由からです。
あとはインプラントの費用が少しでも安価になるように、診療ができる日を望むばかりです。
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