放夢新聞 知って得する歯の話 第十回「キシリトール」
[第983号 平成23年2月14日発行]
キシリトールと言う名称を知っていますか?
ガムや歯磨剤などに使用されていることでご存知の方も多いのではないでしょうか。では、どうして歯にキシリトールなのか?
今回はキシリトールについてお話します。意外と歯科医師でも正しく理解していない場合もあります。
読者の皆さんは、虫歯がどのような病気かご存知ですよね。「バイオフィルム感染症」という病気ですよね。バイオフィルムは虫歯菌や歯周病菌などの細菌や微生物の集合体ですが、その中でも「ミュータンス菌」と言う菌が歯の表面に付着して、酸を作り出します。その酸が歯の表面のエナメル質を溶かし虫歯になっていきます。ただし、ミュータンス菌は何もせずに酸を作り出す訳ではありません。ミュータンス菌は砂糖のような糖を分解して酸を作り出します。砂糖だけではありません。炭水化物でも酸を作りだします。ほとんどの食べ物に炭水化物が含まれていますから、食べ物を口にしたら歯の表面が解けると考えたがよさそうです。
ではキシリトールはどうでしょうか?
キシリトールは天然の甘味料です。主に白樺や樫の木から採取され、砂糖と同等の甘みがあります。その天然の甘味料を100%使ったガムは虫歯になることはありません。これがキシリトールが注目されている理由です。
更に、キシリトールは虫歯の原因菌であるミュータンス菌を弱らせたり、減らす効果があります。
ただし、キシリトール一〇〇%が条件です。市販のキシリトール配合のガムのほとんどは数%程度です。キシリトールの甘みは長続きしないので、一般的に人口甘味料を配合しています。しかしこの人口甘味料でミュータンス菌は減らすことはできません。全くとは言いませんが、キシリトールの効果を100%期待することはできないのです。「100%キシリトール製品」はドラッグストアやスーパーでは残念ながら売られていません。歯科専用になっていることが多いのです。それはキシリトールの本当の効果や正しい処方で100%キシリトール製品の効果を最大限に生かすためなのです。しかも値段も高いので、市販品としては普及しないのです。
食後にキシリトールのガムを噛んだりするのは、ミュータンス菌の働きを抑制し、唾液を出すことで再石灰化口を促すことに意味があります。 これが本当の話しです。
>> メディア掲載に戻る
>> メディア掲載に戻る