放夢新聞 知って得する歯の話 第十三回「予防歯科(3)」
[第986号 平成23年3月7日発行]
今回で、予防歯科の項は最終回です。
予防歯科の概要はご理解頂けましたか?いくら予防歯科の必要性をお話ししても、ピンとこない方もいらっしゃると思います。
そこで、予防歯科に取り組んでいる方の実例をお話します。
30代後半のご夫婦とお子さんで1歳6カ月になる男の子です。
お父さんは、今までに何度となく治療を繰り返し、補綴も複数あり、ブリッジにもなっています。すでにご自分の歯を相当数失っており、抜歯したあとの処置もしていないため、隣接する歯が傾いています。
お母さんは、今まで虫歯になったことのない稀な方です。検査の結果も虫歯菌であるミュータンス菌がほぼゼロでした。
お子さんは、乳歯がほぼ生え揃っています。
この方々が当院に来ていただいた理由が、初回のキーワードなのです。
(1) 予防歯科はいつからでも始められる
お父さん、お母さん、お子さんに前回の内容のとおり、予診インタビューをし、検査・カウンセリングをおこないました。
お父さんのカウンセリングで、噛み合わせが悪い、いくら歯医者(ほかの歯科医院です)に通っても虫歯になり治療を繰り返しているなどの悩みをいただきました。このままでは総入歯になるのではないかと不安を抱えていました。
また、子どもには絶対にムシバになってほしくないという強い意志がありました。
お母さんの悩みは、おばあちゃんが歯周病のため、歯周病になりたくない。また、お父さんの虫歯が子どもに移らないか不安ということでした。
(2) 子どもの歯は親が守る
お父さんの虫歯菌を減らさないと、お子さんに移るリスクは非常に高いままです。また、予防歯科の重要性を理解していただいたうえで、お子さんを歯医者に通わせることが必要になります。
(3) いつまでも笑顔でいるために
このご夫婦に私がお話したのは、ご自分の歯を大切にしましょう。そしていつまでもご家族でおいしい食事を楽しんでほしい、笑顔でいてほしいと言うことでした。
このご夫婦は、1時間かけて当院に通ってもらっています。近くて通いやすいわけではありません。
しかし、ご自宅の近くに予防歯科をメインにやっている歯医者がないということでした。
私は予防歯科をしていますが、予防歯科が各所で広がり、このご夫婦のような意識が日本でも定着していくことを願っています。
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