放夢新聞 知って得する歯の話 第十四回「小児歯科(1)」
[第987号 平成23年3月14日発行]
前回の予防歯科で一歳六カ月のお子さんの予防歯科に取り組んでいるご夫婦の実例を挙げました。
小児歯科のはじめの一歩は、ご両親の意識付けです。読者の皆さんには、お子さんやお孫さんがいらっしゃれば、まずはこの子の歯のためにできることを考えてあげて下さい。重要なスタートです。
小児歯科は子どもの歯を治療することが主たる目的ではありません。虫歯にならない環境を作ってあげることに最大の意味があります。一番良いのは幼児期(スプーンを持ち始める頃)から歯ブラシを持つ習慣をつけることです。もちろんその月齢の子どもは磨けませんが、食事をとった後は必ず歯ブラシを持つという習慣です。ご両親も一緒に磨きましょう。それを見て、自然に口の中で歯ブラシを動かせるようになります。
そして最後に仕上げ磨きを膝の上で優しくしてあげて下さい。とても時間が掛りますが、虫歯になって、これから歯医者に通い痛い思いをすることを考えたら、ここで習慣づけることの重要性がお分かり頂けると思います。直に歯磨き剤を使用し、吐き出せなければガーゼで口の中を拭ってあげる、という段階で進んでいきます。
小児歯科は子どもたちに好かれる医師がいる歯医者ではありません。
歯を抜かないように最低限の治療をしてあげる歯医者でもありません。子どもに虫歯を作らせない環境を作るのが本来の意味です。
しかし虫歯になってしまうこともあります。虫歯は感染症です。感染することはやはりどうしてもあるのです。そのときはもちろん子どものためにできる最善の治療を考えます。
重要なのは、虫歯になりにくい環境を作っていくことです。小児歯科は予防歯科のスタートラインなのです。
子どもの予防歯科の重要性は虫歯菌を移さないということが重要です。お母さん、お父さん、おばあちゃん、おじいちゃんが虫歯であることは、子どもたちにとって決して良いことではありません。風邪を引いてマスクをしないで、子どもに移してしまうのは可哀想ですよね。風邪は多少苦しくてもそのうちに治ります。
しかし虫歯は治りません。冒頭で子どもの歯のためにできることを話しあって欲しいとお話ししました。これは子どものことだけでなく、ご自身のこれからの人生においての口腔環境を考えるいい機会だと思って頂けたらと思います。
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