放夢新聞 知って得する歯の話 第十五回「小児歯科(2)」
[第988号 平成23年3月21日発行]
前回に引き続き、小児歯科で大切なことをお話します。
最近はプレママ(妊娠中のママ)や育メン(育児をするパパ)という現象がブームになっています。この現象は良い傾向にあって、お子さんの健康や教育に関して非常に熱心です。「予防歯科」だけでなく、「食育」や「外国語」「リトミック」といったお子さんのためにご両親が勉強されていることも多いようです。
そこで今回の話しは、日本と外国の比較をしたいと思います。どうしてかと言うと、このように学ぶ意識のある方々から、さらに子どもたちに伝わり、近い将来には
《小児歯科=予防歯科》
の方程式が当り前の時代が来ることを期待しているからです。
予防歯科先進国は北欧のフィンランドです。
フィンランドでは十二歳児のDMFT値(虫歯、治療した歯、抜かれた歯の合計)は1.2本(1991年)です。日本は3.7本(1993年)です。
WHOが2000年の目標としていたのは3本以下でした。日本はまだ予防歯科の後進国だと言っても過言ではありません。
では予防歯科先進国のフィンランドは昔から予防歯科が根付いていたのでしょうか。いいえ違います。1975年頃のフィンランドのDMFT値は6.9本で、日本は5.6本です。当時は、日本よりも虫歯の数は多かったのです。国は35年を掛けて、予防歯科に取り組みました。その結果です。日本もこれらと同じことが言えると思います。熱心に取り組んでくれている両親の教えが、子どもからまたその子どもへと受け継がれ、30年後には日本は予防歯科先進国になってくれればと期待しています。
小児歯科には矯正歯科もありますし、治療ももちろんあります。しかしそこには個人差があるので、広く皆さんにお話しするには難しい事柄もあります。故に予防歯科の基本的な考え方で、小児歯科に通じる話しをさせてもらっています。
フィンランドの予防歯科のキーワードです。
- 正しい食生活
- 正しい歯磨き指導
- フッ素
- キシリトール
- 定期健診と予防処置
これらを幼児期から一つずつ慣れ親しんでいく、ご両親、おじいちゃん、おばあちゃんも一緒に取り組んでいくことで、お子さんやお孫さんも自然と歯を大切に、虫歯になりにくい環境ができるようになっていきます。
20年後には、虫歯があることが恥ずかしいと思う時代がやってくるよう、私も皆さんのお役にたてるように精進していきます。
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